法人設立

一口に「法人」と言ってもその形態には、会社法で規定されている株式会社、合同会社、合名会社、合資会社から、各特別法で規定されている、一般社団(財団)法人、NPO法人、社会福祉法人、宗教法人、医療法人、etcと様々なものがあります。各法人の設立において必要な手続等は、書籍、webなどでいくらでも出てきますので、ここでは注意点を述べる程度にしておきます。

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全ての法人に共通すること

まずは「事業の目的」を決めます。

一体、どんなことをしたいのか?何のために法人化するのか?を考えます。
株式会社や合同会社のように普通は営利目的(儲けるため)ではありますが、NPO法人や社会福祉法人のように営利を目的としない法人形態もあります。
しかし、どの法人形態であっても共通するのは「○○をしたいから法人化するんだ」ということです。まず、これを定めていただかないと何も進みません。

次に、会社名(及び施設名)を決めます。

割と後回しにしがちですが最初に決めましょう。定款の作成や設立計画書が必要となる場合、「仮称」のままだと、計画不備という心証を与えてしまいます。また、設立の最初の段階から使用することで、より社名に愛着が沸きます。社名を決めたら早々に法人印を作成しましょう。

人とカネを集めます。

株式会社や合同会社の資本金は1円以上、経営者も1人でOKとなりましたが、現実的にはお金が必要ですし、経営者(取締役や代表社員等)も数名で立ち上げる場合もあります。
その他、法人形態によって必要な資金、人員は変わってきますので、ご注意ください。

融資を受けたい場合、事業計画書や創業計画書についてはこちらを参照してください。

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株式会社

株式会社は会社法で規定されている法人形態で最もポピュラーな形態です。ただし、以下の点に注意してください。

  • 設立費用が高くて手続きが煩雑
  • 同じ会社法で規定されている有限責任の法人形態である合同会社に比べたら若干、設立費用が割高、かつ、手続が煩雑になります。
  • 決算公告が義務付けされている
  • 意外に知られていませんが、株式会社は決算を行ったら、公告をしなければなりません。この公告の方法は定款で決めるのですが、通常は「官報」となります。もちろん掲載するにはお金がかかります。
  • 役員期間が定められている
  • 定款に決めなければ通常2年です。最長10年まで定款で決めることができます。もちろん再任してもかまいませんが、「重任」という登記をする必要があります。これを怠って12年以上登記がないと、「みなし解散」といって会社を解散させられてしまう場合があります。気をつけましょう。

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    合同会社

    「有限会社」が設立できなくなり、その代わりに新しくできた形態の法人で、基本的に株式会社のメリット・デメリットがそのままデメリット・メリットに対応します。

    また、一人合同会社を設立する場合には定款に必ず入れておいたほうがいい内容があります。

    それは、「法定退社の特則」です。
    簡単に言うと、一人合同会社の社長が亡くなった場合、そのままだと誰も後を継ぐことができないので、自動的に会社は解散となります。
    なぜ後を継げないのかというと、合同会社(「持分会社」という。他に合名会社、合資会社がある)は、株式に相当する概念として持分というのがあります。株式は相続の対象となりますが、持分は当然には相続の対象とはなりません。定款に何も定めていない場合、死亡→退社→持分の払出し、となり、相続人に支払われるだけです。

    会社を解散させないように、相続人等が死亡した社長の代わりに社員になろうとしても、入社するには「全社員の承認」が必要なので、社長が亡くなった以上、社員がいないため入社できません。社長が亡くなった時点で社員が一人もいなくなったため、法定解散となってしまいます。

    一人合同会社を設立する場合は、必ず定款に入れてくださいね。

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    その他の持分会社(合名会社・合資会社)

    大きな違いはなんと言っても、「責任が無限にある」ということでしょう。
    株式会社や合同会社は有限責任といって、最初に出資した金額以上の責任はありません。例え、借金まみれで会社が倒産してもすでに支払ったお金が返ってこないだけで、それ以上の請求はありません。しかし、合名会社・合資会社の場合は、会社が負った全ての借金が無限責任社員へ降りかかってきます。
    と言っても、株式会社や合同会社であっても社長は通常、個人で連帯保証人になっている場合が常ですし、個人事業主の場合は常に個人で責任を負っていますので、責任者という立場ではあまり違いはないと思います。

    また、「資本金の制度」がない。というのも大きな特徴の一つです。株式会社や合同会社は出資が(基本的に)現金でなければならないのに対して、合名・合資会社は必ずしも現金である必要がなく、例えばパソコンや不動産等の「現物」、300万までは保証しますよという「信用」、労働することを評価する「労務」を出資として認めることができます。

    基本的に、個人事業主の形態がそのまま法人となったというイメージですが、法人なので、社会保険に加入することができるというメリットがあります。その他、手続が株式会社に比べて簡単、公告がないといった合同会社と同等のメリットも有しています。

    合名会社と合資会社の違いは、「全員が無限責任」なのが合名会社で「代表者だけが無限責任、他の者は有限責任でよい」なのが合資会社です。

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    一般社団法人

    通常、営利を目的とする場合は株式会社等を設立し、非営利目的である法人を設立する場合に「一般社団(財団)法人」「NPO法人」「社会福祉法人」を設立します。
    一般に公益性が高い順に、「社会福祉法人」→「NPO法人」→「一般社団(財団)法人」となります。
    また非営利団体である一般社団法人やNPO法人、社会福祉法人には税制面での優遇措置がとられています。

    一般社団法人を設立するのは、他のNPO法人や社会福祉法人に比べると比較的、簡単で期間も短く行うことができます。そのため、一般社団法人を設立するのは、公共性のある事業をしたいけど、資金や手続に不安がある場合や早急に事業を行いたい場合、新しい検定事業を開始する場合など、営利を目的とする内容となじまない事業を行いたい場合であれば特に制限はありません。

    デメリットとして、非営利目的の法人のため利益を分配することができません。これは給料を払えないというわけではなく、株主配当みたいに、利益を構成員で分配することができないということです。また、一般社団法人は制定されてからあまり経っていないため、社会的認知度が低いことも挙げられます。これを払拭するために、公益社団法人認定というものがありますが、これを得るためのハードルはかなり高くなっています。

    また税制面においては、特定の条件をクリアすることで、収益事業のみに課税されることになります。

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    NPO法人

    通常、営利を目的とする場合は株式会社等を設立し、非営利目的である法人を設立する場合に「一般社団(財団)法人」「NPO法人」「社会福祉法人」を設立します。
    一般に公益性が高い順に、「社会福祉法人」→「NPO法人」→「一般社団(財団)法人」となります。
    また非営利団体である一般社団法人やNPO法人、社会福祉法人には税制面での優遇措置がとられています。

    NPO(特定非営利活動)法人は、その名の通り、特定の非営利活動を行う法人のことで、現時点では20類型の活動が制定されています。NPO法人はこの類型のどれかを行う法人でなければなりません。

    NPO法人は所轄庁の認定が必要であったり、設立するまでに時間がかかったりと、一般社団法人に比べ、難易度が高いのですが、社会的信用が高いことや税制面での優遇など、一般社団法人以上の優遇が受けられます。

    しかしその反面、毎年、所轄庁への報告義務があったり、一般社団法人と同じく、利益の分配が受けられないといったデメリットもあります。

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    社会福祉法人

    通常、営利を目的とする場合は株式会社等を設立し、非営利目的である法人を設立する場合に「一般社団(財団)法人」「NPO法人」「社会福祉法人」を設立します。
    一般に公益性が高い順に、「社会福祉法人」→「NPO法人」→「一般社団(財団)法人」となります。
    また非営利団体である一般社団法人やNPO法人、社会福祉法人には税制面での優遇措置がとられています。

    社会福祉法人は、非営利法人形態のうち、最も公益性が高く税制面での優遇もありますが、その反面、設立が難しい法人です。

    社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的とした法人なので、社会福祉法で定められている事業以外はできません。(主たる社会福祉事業に影響を及ぼさない範囲でなら活動可能)
    また、社会福祉法人は共益性が高いことから、人的な要員も多く、資金面でも安定した活動を行うことができるよう、事前に多額の資金を準備する必要があります。

    しかし、全てを事前に準備するのはかなり無理があるため、国、多くの都道府県や市区町村で、補助金を受けられる制度が確立しています。この補助金制度は社会福祉法人だけが対象ではありませんが、制度を利用している多くは社会福祉法人となっています。

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